おいし果レビュー 大将季(だいまさき)実際計ってみた

こんにちは、池田農園中の人です。

今回は、最近導入した『おいし果』という糖度計のレビューを記事にしてみたいと思います。

おいし果って何?

おいし果とは、千代田電子工業株式会社が開発販売を行っている非破壊式の糖度計です。

今回、池田農園では九州の代理店であるRBテクノロジー株式会社を通して購入させて頂きました。

非破壊式の糖度計は、光の反射を利用して野菜や果物の糖度を測るというものです。

これだけ見ると、『ただの糖度計でしょ?』って思ってしまいがちですが、これは農家にするとすごく画期的なことなんです。

なんたって非破壊式糖度計です。

非破壊だと何が良いの?

今まではこのような糖度計がほとんどで、測る品物を切って汁を垂らしてその糖度を測るというものでした。

当然出荷する品物を切って糖度を測ると出荷など出来る訳がありません。
今までは農家の経験と勘で色や固さなどを見ながら美味しさを見極めて出荷していました。
これだと、経験の無いものが出荷作業をした場合、味のばらつきが出てしまいお客様に満足いく商品を提供することが出来ません。
しかし、非破壊式糖度計であるおいし果を導入することによって、経験の必要ない数値での選別が可能となりましたので、池田農園ではより安定した商品をお客様に提供することが出来るようになりました。
さらに、今まではこのみかん甘いよとか、おいしいよと言われても、普通の方は見ただけではなかなか違いが判りません。ですが、おいし果を使い数字で違いを表せるので、お客様もより良いみかんを購入していただく事が出来るようになりました。

おいし果の価格は?お高いんでしょう?

はっきり言います!おいし果は高いです!
池田農園で購入を決意した2022年7月あたりで次のような価格でした。
※導入時期により価格は変動している可能性があります。
本体:35万
データ投入:12万(標準データなら7万)
データ通信用ソフト:6万(計測データ回収用)
検量線作成ソフト:23万(検量線作らないなら不要)
今までのこういった糖度計が2~3千円で購入できるのを考えると、はっきり言っておいし果は高いです。

データ投入などすると、今までの糖度計の200倍以上の価格になります。
ですがこれは、おいし果が高いのではなく、非破壊式の糖度計が高いんです!
今回、この非破壊方式の糖度計を購入するにあたり、色々と調べてみました。
まず最初に一番欲しかった選果機タイプのものですが
約1500万円って言われました(;・∀・)
とてもじゃないですが小規模の個人農家で手を出せる金額ではありません。
導入するならそこそこの規模まで拡大してから、さらに補助金使って半額ぐらいでってところですかね・・・
次に検討したのが、クボタのフルーツセレクターです。
本体価格が約100万円です。
クボタのフルーツセレクターは、糖度や酸度だけでなく、他の栄養素も測定できるって事で、おいし果よりも性能は良いです
ただ、みかんの選別に一番必要なのはやっぱり糖度と酸度だったので、その機能を抑えていてさらに価格も抑えられていたおいし果を選択しました。
しかも、見てわかる通り、出始めの頃の携帯電話のような形をしていて、重さが約5㎏と重いです。
移動しながら使うなら、この重さは邪魔になるなという事で選択肢から完全に外れました。
しかも、この100万円は本体価格なので、データ投入などで他の費用も合わせると実際は150万円ぐらいになるとのこと。
おいし果の3倍ぐらいの価格になるので、価格的にもやっぱりきついですね。
最後に検討の対象としたのが、アタゴの糖度計だったのですが・・・みかんの糖度を測れない!選択の余地なく外れてしまいました。
イチゴやブドウなどのように、皮が無かったり皮が薄いものは測れるようですが、みかんのように皮が厚いものは無理だそうです。
価格は10万円程度と一番安いので、対応している果物や野菜を測るのであれば、お試しで使ってみるのはありだと思います。
こうやってみると、おいし果は非常に高価な商品ではありますが、非破壊式の糖度計の中ではリーズナブルな価格になっています。
高い高いと思っていたおいし果が他と見比べてみると安い様に感じてしまうのは多分錯覚なんでしょうね・・・
ですが、農家にとってやはり、商品の糖度が解り自信をもって出荷できるというのは、お金以上の価値がある事だと思います。
なので、高い商品ではありますが、長い目で見ると安い買い物だと私は思っています。

おいし果のデメリットってないの?

という感じで、池田農園では結果的においし果を購入するに至ったのですが、中には、おいし果の光を当てることによって、味に変化があるんじゃないのか?とか思われる方がいるかもしれませんが、実際に糖度を測って実食してみましたが、特に美味しさに変化はありませんでした。
あえてデメリットを上げるとすると、糖度を測る手間が増えるので作業が増えるという事です。
おいし果のHPでは糖度の計測にわずか0.5秒とは書いていますが、おいし果をみかんに当てたり、複数個所の糖度を計測したりするので、なんだかんだで一個計測するのに5~10秒ほどはかかります。
そうすると、1分間に約6玉、1時間で360玉の計測が必要という手間が発生してしまいます。
この手間は出荷時期という繁忙期に作業する際はおしい時間になってしまいますが、そこはより美味しいものを届けるために飲み込む必要がある手間だと思っています。
もし、この手間をなくしたいというのであれば、非破壊式糖度計を搭載した選果機を購入すればその手間は減らすことが出来ますが、大規模経営しているような法人でもない限りは値段がねぇ・・・

おいし果の使用感は?

ここまでおいし果がどんなものか話してきましたが、実際の実物はこんな感じで届きました。
まさか、商品がアタッシェケースに入って届くとは思っていませんでした。
開封後がこんな感じです。
すっきり丁寧に梱包されていて、良い感じです。
ここまでは前座で、じゃぁ、実際、大将季で糖度を測ってみた所・・・
なんとこの時期に糖度14.3度?!
この時期に14度あれば出荷してもいいぐらい甘い出来になっています。
いやいやまさか・・・と思って破壊式の糖度計で調べてみると11度ぐらいしか出ない・・・
この時期は糖度こんなもんなんですよ・・・てことはもしかしてこれ不良品か?!
と思ってマニュアル調べてみるとありました。検量線補正の項目。
後でメーカーの営業さんにも確認しましたが、この検量線補正で平均の差分を修正すれば問題ないそうです。
今回は3度ほど糖度が高く表示されたので、マイナス3度に設定しています。
その後いくつか試しに測ってみた所、正しい数値が出たので一安心です。
数字が大きく違ったときは、本当に大きな買い物失敗したなと思ってしまいましたが・・・問題なくて良かったです。
これで安心して美味しいものを出荷できるようになりました。
大将季が完熟して色んな方のお宅に届けられるのが待ち遠しいです。

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